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知っておきたい!注目ファッションアイテムの落とし穴

現代社会では、さまざまな素材やデザインの洋服があふれ、またコーディネイトや着こなしも決まったルールはなく、個性をアピールするうえで洋服は非常に重要な要素と言えます。
そんな個性を発揮する立役者ともなる洋服ですが、デザインや作りに対し、当然シンプルなモノだけでなく、他の商品と差別化するうえでも飾りなどのアクセントやシルエットなどで変化をもたせることで、魅力を引き立たせる場合があります。しかし、そうしたアクセントが着続けるうえで落とし穴になる場合も少なくなく、良い面だけでなく悪い面も知ることが必要と言えます。
今回は、是非知っておきたい人気ファッションアイテムのデメリットな部分について紹介しようと思います。

部分使いのファー製品

コートやジャケットにファー(毛)を部分使いすることは、冬物衣料の定番として定着していますが、購入時に以下のことを意識していますでしょうか?またご存知でしたか?

自然現象により着用で毛は擦り切れる
繊維は摩擦の影響を受け易いですが、ファーは特に摩擦の影響を受け易い素材で、一般生活の中では変化は避けられないと言っても過言ではありません。変化とはズバリ、毛が抜けてしまったり、擦り切れることです。これらは自然現象として理解しておきましょう。

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■事例:毛が擦り切れて皮革部分が露出してしまった場合
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運命の分かれ道。縫い付けタイプか?取り外し出来るタイプか?

フードジャケットなどによく見られるような、フードにファーがついている商品などでは一般的に「縫い付けタイプ」と「取り外しタイプ」では洗濯方法は異なります。結論から申し上げると「取り外しタイプ」を購入されることをお薦めします。
理由は、例えばジャケット本体部分では水洗い出来る素材でも、フードに縫い付けられているファー素材が水の影響を受け易い為、本来しっかりクリーニング処理出来る商品にもかかわらず、ファーへの負担を考慮して十分な汚れ落としが実現出来ないケースもあります。
つまり、デザインとしては機能的ですが、お手入れするうえでは機能的では無い商品になっている訳です。

よって、ファーを取り外すことが出来れば、ファーに一番良い洗浄方法を施し、また本体に一番良い洗浄方法を施すことが出来、デザインとお手入れの機能性の両立が図れる訳です。


避けられない天然毛皮の注意点
  • 天然皮革は繊維製品と比べて均質性を得ることが難しく、商品それぞれが部位によって毛の長さや色などは違います。
  • 繰り返し々状態で摩擦されると、毛は擦り切れたりして抜けてきます。
  • 熱に弱く、毛先はタバコの火などで簡単に焼けます。
  • 長期間日光に当たっていると自然劣化や変色が生じます。
  • 日光や蛍光灯などの紫外線により退色します。
  • 皮革部分が水分を吸収することで硬くなったり破損が生じることがあります。
  • 皮革部分に含まれている油が酸化したり、なめし剤が変質したりすることで硬化や破損が生じることがあります。
  • においを吸着しやすく、香水やたばこのにおい、防虫剤のにおいなどを吸着します。
  • 香水やヘアスプレーが直接かかると黄色くなったりシミの原因になります。

以上のような現象は、普段の着用で起こる原因ですが、クリーニングすることで現象が顕在化したり明瞭化したりすることがあります。

革のアクセント使い

革もファー同様、本来は、本体とは別にクリーニング処理されることが望まれます。しかし装飾デザインとして革があしらわれる例が多く、取扱いや洗たくやクリーニングの事などを意識しなくて購入され、後々トラブルになるケースがあります。
素材特性をしっかり見極めるのと、購入段階でケアラベルをしっかり見ておくことや、店員にケアの方法を教えてもらうことも必要です。

合成皮革の場合
デザインによる差別化を図るうえで、洋服の一部にアクセントとして革を装飾する例がよく見られます。しかし、この革部分が合成皮革であればポリウレタン樹脂が使用されており、時間の経過による劣化で品質が徐々に低下し、最終的に寿命が尽きると表面がはがれたり、ベタついたりします。
これは避けることの出来ない宿命で、小さな面積で使われていても同様です。
参考:ポリウレタン樹脂の弱点を知る
参考:人工皮革と合成皮革

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天然皮革の場合

天然皮革は一般的に染色の染まり具合が弱く、洗濯やクリーニングで染料が溶けだすことがあります。事例としては、溶けだした染料が他の部分に移ってしまう例がよくあります。

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ゴム引きコート(接着仕立て)

ゴム引きコートとは、某有名ブランドのトレンチコートとしてファッション業界のデザイナーやスタイリストなどに愛用されている人気の高い定番コートです。
特徴は、1822年チャールズ・マッキントッシュにより発明された防水布が起源で、織物の裏にゴムを引き布を貼り合わせてある加工がしてあります。そして、高額です。

独得の機能や質感やシルエットを実現し、いつまでも長く愛用していたい逸品と言えますが、その多くは実はケアラベルを見ると「洗えない」ということが分かるかと思います。つまり、水洗いも×で、ドライクリーニングにも×のマークがついています。

いつまでも愛用していたいコートですが、汚れを落とさなければ長持ちしないのは言うまでもありません。ところが、特徴でもある接着仕立ての影響で、一般的なクリーニングが出来ず、そのケア方法は非常に手間がかかり、様々な面で苦労が伴う特徴があることを理解しておく必要があると言えます。

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参考:有名ブランド紳士コートについて
参考:接着(ボンディング)加工
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