ポリウレタン素材の弱点を知る | 衣服の寿命について | 東京都クリーニング生活衛生同業組合

衣服の寿命について

ポリウレタン素材の弱点を知る

ポリウレタンと言われる素材をご存知ですか?ポリウレタンは日常生活のあらゆるシーンで使用されている素材ですが、衣服での利用が一番身近に知られていると思います。例えば合成皮革で出来たコートや、伸縮性の優れたストレッチ製品やスポーツウェアなどが当てはまります。
しかし、ポリウレタン素材を利用して作られた衣服には、衣服を楽しむうえで知る必要のある大きな弱点があります。そしてその弱点が原因となるクリーニング事故が頻発しています。
このページではポリウレタン素材の用いられた衣服について紹介します。

衣服に利用されるポリウレタンについて

まず衣服で使用されるポリウレタンの目的は主に4つに分類出来、それぞれ加工方法が異なります。

・伸縮性をもたせるため → ストレッチ加工糸
・異なる繊維素材を張り合わせるため → 接着樹脂
・生地に特徴あるコーティングを施すため → コーティング加工布
・革製品に似せた商品をつくるため → 合成皮革や人工皮革

そもそもポリウレタンって?

ポリウレタン
ポリウレタンは、2種類の化学物質を結合させ反応させることで生まれた化合物の総称を言います。
衣服に利用される場合には、伸縮性を機能として持たせたものや革製品に似せた合成皮革のコーティングなど、また、生地と生地を縫わずに接着樹脂として利用するなどして活躍します。

しかし、衣服で利用されるポリウレタンという素材は、作るときに結合させた部分が、体脂や空気中の水分、大気ガス、熱、紫外線などの影響を受け、時間と共に少しずつ分解されていってしまうという、避けられない弱点を持っています。
こうした現象を「経時劣化」と呼びます。





つまり、ポリウレタン素材の衣服は着用せずとも「いずれは劣化していくもの」と覚えておくことが、衣服の購入の際や購入後での取扱いなどでも非常に大切なことなのです。

ポリウレタン素材の衣服の寿命

ポリウレタン事例
ポリウレタン素材は衣服以外に車のシートやソファなどでも使用され、そうしたものに対しては経時劣化を防いだり、遅らせたりする加工を施していますが、衣服では製造されてから通常2年から3年の寿命とされています。

ただ、この2年から3年という期間はあくまで目安であり、使用環境や取扱い方法により劣化のスピードが速まったり、長持ちするものもあります。

以下に主なポリウレタン素材衣服の経時劣化による事例を挙げておきます。皆さん経験はありませんか?

■事例:ポリウレタン素材衣料の経時劣化
  • くつ下の口部分、つま先部分、かかと部分がヨレヨレになる
  • 伸縮性のあったズボンがヨレヨレになる
  • ズボンの表面からポツポツと白く繊維状のものが出た
  • ジャケットの表面が剥がれ、ボロボロとカスが落ちる。
  • コートの表面がヒビ割れした。
  • ジャケットの表面がベタベタする。

ポリウレタン素材に敏感になりましょう

ポリウレタン素材は、時間や環境と共に劣化することになりますが、意外にこの事実を知らない消費者が多いのが現状です。
しかも、衣服に使用されている素材を消費者に説明するはずの「表示ラベル」には、『ポリウレタン』の使用について、糸やコーティングについては明記されることが多いのですが、接着樹脂として張り合わせた"ということを明らかにする何らかの表示がされていないケースがほとんどで、そうなると購入者自身が見極めるか、販売員に尋ねることが必要になります。

そして更に厄介なのが、ポリウレタンの劣化は購入時からスタートするのではなく、製造時からスタートしているということです。
近年、アウトレットやネットオークションなどで通常価格より更に安価に衣服が手に入るようになりましたが、製造時から販売時までの期間がどの程度経過しているのかにより、購入しても思いの他短命に終わってしまうケースがあることもあります。

まとめ

最後にポリウレタン素材の知識として必要な事項をまとめました。
商品を購入する際の参考にしてください。

  • 着用してもしなくても劣化は進むこと。
  • 水分や湿度の他に日光や紫外線といった様々な環境条件で劣化の速度が変わること。
  • 劣化の始まりは「購入時」からではなく「製造時」からであること。
  • 購入時に表示ラベルをよくチェックすること。
  • クリーニング処理により元々劣化が進んでいた状態が表面化することがある。

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