シームレスダウンの注意点 | 衣服を買う | 東京都クリーニング生活衛生同業組合

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シームレスダウンの注意点

seamlessdown_4.JPG数年前からダウンジャケットのキルティング部分に縫い目がなくテープで貼ったような仕様で作られたダウンジャケットが人気です。こうしたダウンジャケットは「圧着加工」や「ノーステッチ加工」や「シームレス加工」と言って、縫い目が無いことにより機能性を高めています。
しかし、この加工には大きな弱点があるのをご存知でしょうか?このページではシームレス加工のダウンジャケットについて紹介します。

シームレスダウンとは

シームレスダウンとは、ダウンジャケット特有のもこもこしたキルティングにあるステッチ(縫い目)部分に樹脂による圧着加工を行い、限りなく縫い目を減らした「ノーステッチ加工」または「シームレス加工」といわれる新技術によるダウンジャケットです。

シームレスダウンのメリット

一般的な従来のダウンジャケットは、ダウンの入った生地の仕切りを作るのに糸とミシン針を用いて縫製しています。つまり、針を通すことで微細な穴がどうしても存在してしまいました。
この微細な穴は着用やクリーニングを繰り返すことで少しずつ広がる場合もあり、中に充填されているダウン(羽毛)やフェザーが噴き出してくることがあったり、温かい空気が逃げてしまう原因にもなっていました。更に、微細でも穴があることで雨による水滴を通してしまうこともあります。
ところがシームレスダウンでは、針を通さず樹脂を使い圧着している為そもそも穴が存在しません。それにより、暖かさはそのままに撥水、防風、軽量化を実現し更に噴き出しなどのトラブルへの課題解決も実現しました。

剥がれる可能性が非常に高い~シームレースダウンの重大なデメリット~

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機能的側面だけを見れば優れた商品と言えますが、その機能を生み出す為の製造方法に問題があります。問題の箇所は圧着してある部分で、圧着に用いられる樹脂に「ポリウレタン」が使用されているケースが多く、着用状態などにもよりますが3年程で圧着部分が剥がれてくる可能性が高いです。
ポリウレタンというのは、空気中の水分や熱や紫外線など生活するうえで避けられない環境の中で少しずつ成分が分解され必ず劣化する、3年程で寿命を迎える素材です。
ポリウレタンが用いられた衣料品としてはシームレスダウン以外にも「合成皮革」や「人工皮革」、伸縮性のあるストレッチ素材が用いられたパンツなどが流通しています。これらポリウレタンが用いられた衣料品は全て製造から劣化がスタートしていますので、その点においても非常に注意が必要です。
フリマアプリやオークション経由での購入品、アウトレット品に注意
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近年衣服を購入する手段は百貨店やセレクトショップだけでなく、メルカリなどの「フリマアプリ」やヤフオクなどの「オークションサイト」で安く購入する消費者が増えています。
百貨店やセレクトショップでは製造から何年も経過した商品が販売されることは考え難いですが、フリマアプリやオークションサイトで出品される衣服は、年数を経過した品物も沢山売られています。
つまり、素材の寿命からあと半年や1年しかもたなかったり、既に寿命を迎えている(剥がれが起きている)シームレスダウンも売られている可能性が十分考えられるのです。
もし購入しようとする場合はこうした素材の特徴を理解して、購入を検討するようにしましょう。

シームレスダウンのお手入れについて

特徴的なダウンジャケットである為、お手入れ方法も慎重さを要します。特に誤解して頂きたくない事として、圧着部分の剥がれは製品の特性によるもので、本質的にはクリーニングが主原因ではないということです。
水洗いが原則。ドライクリーニングは出来ません。
シームレスダウンは、圧着部分にポリウレタン樹脂が用いられていることからドライクリーニングが出来ず手洗いかウエットクリーニングが原則です。これは洗濯絵表示を見ても分かりますが、一部メーカーでは稀に「ドライクリーニング可」を意味する表示がされているケースもあるようです。このような場合は、必ず「ドライクリーニングで圧着部分が剥がれないか?」を確認し、「万が一クリーニング店でドライクリーニングを行い剥がれた場合はメーカーは賠償してくれるのか?」など、慎重に購入を検討してください。
クリーニング前には必ず状態を確認してください
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着用状態によってはクリーニングする前に圧着部分の一部に剥がれが起きている場合もあります。クリーニング後に剥がれに気付いてトラブルになる前に、自ら予防しましょう。
クリーニングをお薦めしない場合も...
クリーニング店によっては、受付時に圧着部分の状態をしっかりと診察しクリーニング処理中の揉み作用などで「剥がれ」が起きる可能性の高い状態であると判断したうえで、お客様に処理をお薦めしない場合も考えられます。
このような対応については、洗って綺麗にすることは出来ても副作用として剥がれる事が想像でき、元の状態から悪化させてしまうからです。つまり、洗って綺麗にすることより、元の状態で少しでも長く着用してもらうことを優先するからです。

シームレスダウンはトレードオフの関係にあります

「トレードオフ」とは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係のことを意味します。
「二律背反」や「両立しない関係」と言い替えられ、世の中のあらゆる場面で遭遇します。

・お金を使えば貯金が出来ない。(貯金をすればお金が使えない)
・経済発展するには大気汚染が伴う
・(個人差はあるが)抗がん剤治療を行なえば副作用が辛い

つまりシームレスダウンも同様で、縫い目を無くし樹脂で圧着することで機能性は向上したが、経年劣化する樹脂を用いている為、耐久性が劣ります。

よって、クリーニング店では綺麗に洗うことは出来ますが、耐久性を蘇らせることは出来ない事を理解しておきましょう。

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