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日常生活を過ごすうえで、衣服のシワに悩まされる機会はありませんか?
例えばビジネスシーンでは、スーツやワイシャツを着用する機会がありますが、シワの多いスーツやワイシャツを着用していれば他人から見れば見苦しく、清潔感は損なわれます。
また、キレイに洗って保管していたのに、着る時に出してみたらシワでついていた…なんてことも。
では何故そもそもシワが出来るのでしょうか?また防ぐ方法はあるのでしょうか?このページでは、シワについて解説します。

シワのメカニズム

衣服のシワというのは、日常生活の中で非常に起こり易く、逆に「何故シワが出来るのか?」という疑問もあまり起きなかった方もいるのではないでしょうか。
シワが起きるシーンというのは、着用や洗たくなどで折り曲げられたりした時に変形し、変形した状態で固まるとシワになります。

では、シワの起きるメカニズムを、着用した時と洗たくした時の二つの視点で詳しく見て行きましょう。

着用シワ

繊維の違い

シワは繊維の種類によって、シワがつきやすいものとそうでないものとに大別出来ます。

合成繊維や羊毛などは、変形からの回復が有り、シワがつき難い繊維です。
綿、麻など植物を由来とした繊維やレーヨンは、変形からの回復が悪く、シワがつきやすい繊維です。

織物組織のズレ

衣服の生地には、セーターなどの「編物(あみもの)」と、シャツなどの「織物(おりもの)」の2種類があります。
「編物」は、組織が糸をループにして絡めていくので組織が動きやすくゆるやかである為、折り曲げられても回復し易いです。また、構造が立体的ですので、シワになっても目立ちません

一方「織物」は、組織がたて糸とよこ糸が組み込んで作られている為密であるほど、折り曲げられた時の回復が悪く、シワが目立ちます。

例えば、「織物」が外圧や運動などで折り曲がったとき(湿度が高いほど)織物組織の糸の位置がズレて元の状態に戻らない現象が起きます。これがシワのメカニズムです。

つまり着用により、織物組織がズレてしまうことがシワの原因です。

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洗たくシワ

繊維分子の変形

ミクロの世界で見ると、繊維は分子で出来ており、その分子同士が弱い結合により結び付き、繊維を形作っています。
ところが、綿や麻などの繊維は洗たくで水を吸い込むと、繊維自体がふくらみ、分子の結び付きはほどけてバラバラになります。そして、脱水などでくしゃくしゃになったまま乾かすと、バラバラになった形で分子が再び結びついて、シワが残ります。
つまり、洗たくによりバラバラになった分子同士がその状態のまま乾燥され、固定されてしまうことが、シワの原因です。

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形態安定加工と保管の工夫について

シワの原因は概ね「繊維の特性」「組織のズレ」「分子のズレ」であるので、つまり、繊維の問題を克服したり、組織や分子がズレないよう固定するような加工をすればシワになり難くなるという発想のもと生まれたのが、「形態安定加工」です。

現在では縫製前の繊維の状態で加工をしたり、逆に縫製後に加工をしたりなど方法は様々ありますが、ここではその一部を簡単に紹介します。ちなみに一つの方法のみではなく、様々な方法を組み合わせて「形態安定加工」として製品化しています。

繊維をふくらました状態で固定する方法

綿の形状は細く平らなリボン状自然のよじれがあります。また、繊維断面は中空部分があります。
また、水分を含むと繊維がふくらみ、乾くと縮む特性があります。

そこで、考えられたのが繊維をふくらましたままの状態で固定するという加工です。
具体的には、以下のような状態に固定します。

・平らな形状 → 丸みを帯びた形状で固定。
・ねじれた形状 → ねじれが無く滑らかな形状で固定。
・中空部分 → すき間を小さくした状態で固定。

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加工前 加工後
【写真】SEN'I GAKKAISHI(繊維と工業)vol.59 No.12(2003)


加工前と加工後の画像を見ると一目瞭然ですが、ツルツルした状態になりゴワゴワ感は無く柔らかくなる為、シワが出来難くなるという仕組みです。ただ、シワが出来難くなる半面綿本来の「風合い」が若干変わることになります。
また、組織のズレに対しても、繊維がツルツルである為回復力が高まり、ズレを防ぐ効果を発揮します。

繊維の分子を固定する方法
樹脂に浸したり薬品を吹きかけたりなどし、化学の力で繊維分子同士を強く結び、離れ難くします。 それにより、形態安定効果を得られます。

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「形態安定加工」は、発明された当初はもともとシワになりにく化学繊維を混ぜていましたが、現在では技術の進歩により、綿100%でも様々な弱点を克服し、形態安定加工が出来るようになってきているようです。
ただ、「形態安定加工」は生地を脆く(もろく)し、破れやすくなるデメリットがあります。


保管方法の工夫

シワは、洗たく後に保管してる最中にも付くことがあります。
全ての衣服を、ゆったりと吊るしておけばシワは抑えられますが、張力により「伸び」という別の問題が起きる場合もあるので注意が必要です。
するとやはり、いい加減に畳むのではなくキレイに畳むことを心がけるだけでも余計なシワを無くすことが出来ます。


形態安定加工品を自宅で洗うことの弊害

シワが出来にくく、アイロンの手間も無くなり、クリーニング代も節約出来るというメリットを持つ形態安定加工品ですが、例えば一番ポピュラーな品物としてYシャツが挙げられますが、次に挙げるような問題もあることを意識しておく必要があります。

・襟、袖汚れといった頑固な汚れは前処理の手間がかかる。
・前処理を行ってから家庭洗濯しても、襟・袖汚れといった頑固な汚れは残る場合がある。
・クリーニング仕上げのようなハリのある仕上げの再現が難しい。


<参考>
形態安定シャツの服の仕組みは?(asahi.com)

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