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「クリーニングから返ってきたばかりなのに何か異臭がする…」「クリーニングに出したのに白いニットが少しくすんだ気がする…」そんな経験はありませんか?そのお店は重要な仕事を疎かにしているかもしれません。このページでは、良いクリーニング店を選ぶひとつの目安としても役に立つ「クリーニング店が行うべきドライクリーニングにおける品質管理の重要性」を紹介します。

ドライクリーニングは排水しません

まずドライクリーニングで使用される溶剤は、家庭洗濯やランドリーで使用される「水」では無く、石油系を代表にした有機溶剤が用いられます。そして、この有機溶剤は、水質汚濁防止法という法律により下水管を通した排水が行えません。
このような理由から、ドライクリーニングで使用される有機溶剤は1度の洗浄で洗い流したりせずに、リサイクルされ、一定の状態になった段階で、専門業者が店へ回収しに来ます。

溶剤をリサイクル(再利用)!?

一度洗濯で使った溶剤を、再び別の洗濯で利用することに不快感を持たれた方がほとんどかと思われますが、もちろん使用した原液を何もせずそのまま再利用することはありません。
綺麗な溶剤に再利用する為の方法としては主に3つの方法があり、お店にある機械などによって異なります。

1:カートリッジフィルターを使用する方法。
2:活性炭などの吸着材を使用する方法。
3:蒸留装置を使用する方法。


カートリッジフィルター・吸着剤による溶剤浄化方法

現在ドライクリーニングが行われている店舗の7割~8割近くが使用するスタンダードな方法がカートリッジフィルターや吸着剤による方法です。

まず、フィルターのろ紙によって溶剤の液中に含まれる汚れをろ過して(主に不溶性汚れをせき止める)、更に内側には吸着材と言われるものがあり、吸着材はフィルターを通過した溶剤に含まれるミクロレベルの臭い成分や色素成分を吸着し、綺麗な溶剤にします。
ちなみに、カートリッジフィルターに加え更に吸着剤だけのフィルターをもうひと工程増やした機械もあります。

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カートリッジフィルターの仕組み事例。

dry_filter.gif
イラストは溶剤の流れだけを表している為、構造を単純化しています。
全ての機械がこのように2つの工程を持つのではなく、一つの工程だけの機械もあります。

蒸留装置による溶剤浄化方法
distillation_ex.gif
画像Wikipedia

蒸留は、理科の実験で経験したことがある人も多いと思いますが、まずはその基本原理を復習してみます。
蒸留とは、一般的に混合物を熱の力で蒸発させ、発生した蒸気を別の場所に移して凝縮させる操作をいいます。例えば、混合物が液体であれば、熱を加えることで一度気体にします。そして今度は、逆に熱を奪って液体に戻され、別の容器に蓄えられます。
この状況の意味するところは、最初の混合物に含まれる成分で、加熱しても気体にならない成分は残り、加熱して気体になった成分は液体に戻り別の容器に蓄えられることです。つまり、熱により液体に含まれる成分を分離させることが可能であることを教えてくれます。

そこで、ドライクリーニング溶剤の循環洗浄においても一部店舗でこの原理が応用されており、それが「蒸留装置」を使用するクリーニング店になります。

事例をドライクリーニングの溶剤に置き換えてみましょう。
汚れを含んだ溶剤に熱を加えることで、汚れは残り、溶剤は蒸発し気体となります。そして、その気体は冷却器に運ばれ熱を奪い、液体に戻します。そしてその液体が、新しい溶剤として再利用されるという仕組みです。

dry_distillation.gif


お店の良し悪しを分ける、溶剤の管理!

このようにフィルターや蒸留などの利用で溶剤を綺麗にして再利用していますが、もちろんフィルターや蒸留は半永久的に機能を発揮する訳ではありません。
例えば何度も溶剤をフィルターに通せばそのフィルターが汚れで一杯になり、目詰まりが起きるなどして適切に溶剤中の汚れを取り除くことは出来ません。また、例え蒸留を行っても汚れ物質を取り除くなどの定期的なメンテナンスを怠れば、仕上がりに悪影響が及びます。

ズバリ異臭・逆汚染の原因は…

つまり、適切にフィルターの交換や掃除を怠れば、溶剤が汚れたままクリーニングが行われてしまうということです!その結果、異臭を放ったり、最悪なケースとしては衣服を汚すことにもなりかねません。

利用しているお店は大丈夫?

そこでドライクリーニングにおいてクリーニング業者に求められるのが、ズバリ「溶剤管理」と言われています。

溶剤はしっかり綺麗な状態をキープ出来ているか?
フィルターはしっかり機能しているか?
洗剤の濃度は適切か?

この他にも様々な視点で溶剤の状態を管理しなければ、優れたドライクリーニング洗浄は行えないと言っても過言ではありません。

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組合を通じて配布した溶剤管理啓蒙ステッカー

お店によって品質はバラバラです

ドライクリーニングの「溶剤管理」は色で見分けるという方法もありますが、本来的にその「洗浄品質」を見るうえではより高度なチェックが必要とされ更にコストも掛る為、残念ながらクリーニング店によっては、管理をおろそかにして営業を行うところもあるようです。しかし当然、困難とされる「溶剤管理」にも手を抜かずにいるお店も存在します。

いずれにしても、プロとしての専門知識を備え、その知識を生かしながら「溶剤管理」そして「洗浄品質」の向上を図ることはクリーニング店に求められていることと言え、消費者には「出来るだけ安く、ただ洗ってくれれば良い」という観点のみならず、「いかに洗浄品質にこだわりを持ち続けているか?」という観点からもクリーニング店を選ぶことをお薦めします。