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以前、本ホームページ内のコラムで「「人間」と「衣服」の共通点としての『健康管理』について」と題して、生活習慣病を例に解説しました。
衣服の生活習慣病を防ぐためのポイントは、具体的に「①衣服の買い方」「②着用方法」「③洗濯をする前の準備」「④洗濯洗剤について」「⑤衣服を洗う」「⑥洗濯物の干し方」「⑦日常の保管方法」「⑧クリーニングの出し方」「⑨長期の保管方法」の9つに分けて考えることができます。
今回は「⑤衣服を洗う」を深掘りし、家庭洗濯における注意点を具体的に整理していきます。

洗濯の方法

家庭洗濯の方法は2つあります。1つ目は洗濯機で洗う方法、2つ目は手洗いする方法です。
家庭では洗濯機を用いた洗濯が一般的ですが、洗濯機に入れる前に行う前処理(※のちに説明あり)やデリケートな衣服を丁寧にケアしたい時などには、手洗いが有効と言えます。

洗濯の手順

では、衣服を洗う時の手順を具体的に整理していきましょう。
①洗濯絵表示を確認する
「洗濯絵表示」は洗濯やクリーニングだけでなく、着用時や保管の注意など、衣服に関する全ての情報が記載されているタグで、本ホームページ内の別のコラムでも何度も登場しています。家庭で洗濯する時にも、まずはこの洗濯絵表示で洗濯時や干す時の注意点を確認します。
万が一洗濯絵表示が付いていない場合は、洗濯を始める前にメーカーに問い合わせましょう。
(参考:新しい取扱い絵表示
②グループ分け
洗濯絵表示の記号や衣服の汚れ・その程度などから、洗濯物のグループ分けをします。
このグループ分けをしなかったり間違ったりすると、衣服の風合い(触り心地や着心地、サイズなど)が変わってしまうことがあります。
(参考:洗濯を始める前の準備


③必要なものは前処理を
血液汚れや泥などの特殊な汚れ、襟袖の目立つ汚れなどには、洗濯機で洗う前に前処理することが効果的です。
洗濯は、洗剤が溶けこんだ水が衣服(繊維)に入り込んで揉まれることで汚れを浮かし、すすぎの工程でその汚れと洗剤を流し落とすという仕組みです。しかし特別な汚れや頑固な汚れは洗濯機の揉みとすすぎだけでは落としきることができません。
そこで洗濯機で洗う前に前処理をしておくことで、事前に汚れを浮かせることができるため、洗濯機での洗い上がりに格段の差が出るのです。
前処理は汚れの種類や程度によって異なりますが、汚れに直接洗剤を含ませたり、ブラシで汚れをトントンと叩いたり、洗剤を含んだ水にしばらく浸けておくなどの方法があります。
特殊汚れが付いているにもかかわらず前処理をせずに洗ってしまうと、汚れが衣類に押し込まれてしまい、クリーニング店でも落とせないほど頑固な汚れになってしまうこともあるので注意が必要です。

料理の世界ではよく「下処理によって味に差が出る」と聞きますが、「前処理」によって仕上がりに大きな差が生まれるのは、洗濯も一緒ですね。

④専用洗剤を使う
グループ分けをして前処理(必要な場合)も終わったら、洗濯機での洗いに入ります。この時忘れてはいけないのが専用洗剤です。
ひと口に「洗濯洗剤」と言っても衣服の繊維や汚れによって使う洗剤は異なるので、衣服に合った洗剤を使用する必要があります。
(参考:洗濯洗剤について整理しよう
なお、洗濯絵表示に数字が記載された「水洗い可」の記号がついていた場合、その数字は水の上限温度を指しています。

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洗剤は冷水よりもぬるま湯の方が溶けやすいので、数字の温度のぬるま湯で洗剤を溶かしてから使用すると、洗剤の効果を発揮するのに有効と言えます。

⑤洗濯が終わったら、すぐに干す
洗濯が終わった後の洗濯槽は、湿気が高くカビや臭いが発生しやすい条件が整っています。
また、繊維によっては濡れた状態から乾く時に形が形成されるものもあります。つまり、洗濯機の中で放置してしまう時間が長いと、脱水されたままの形でシワが形成されてしまう場合があるのです。
せっかく洗濯をした清潔な衣服を守るためにも、洗濯が終わったらなるべく早く干すようにしましょう。
なお、衣服によって干し方のポイントも異なります。吊るす・寝かす・日陰など、素材やデザインの関係で細かく指定されていることもありますので、衣服についた洗濯絵表示は干す前に今一度確認しましょう。
また洗濯物を取り出した後、しばらく洗濯機の蓋を開けたままにしておくと、湿気を逃がし洗濯槽のカビを防ぐ一助になります。
※「洗濯物の干し方」について、詳細は別のコラムでもご紹介します。

ところで、洗剤って量ってる?

「洗剤を多く入れることでたくさんの泡がたち、その分汚れ落ちが良くなる」とか「洗剤の量を量るのは面倒だし、適当でもそれほど影響ないだろう」と考え、洗濯する時に洗剤を量らないという話を耳にすることがあります。が...、結論から申しますとまさに「百害あって一利なし」。その行為には、デメリットしかありません。
正しい洗剤量で洗濯するということは、汚れ落ちはもちろん、衣服を守る、清潔な洗濯槽を保つ、節約など、様々な観点からとても重要なことなのです。

既述の通り、洗濯は「洗剤が溶けこんだ水が衣服(繊維)に入り込む→汚れを浮かす→すすぎで汚れを流し落とす」というサイクルです。
もしここで水量に対して洗剤が多すぎると、洗いの工程で繊維から浮いた汚れと洗剤成分がすすぎの工程で流れきらず、衣服や洗濯槽に残ってしまう可能性があります。そして衣服や洗濯槽に残った汚れや洗剤成分は、雑菌のエサとなりカビや臭いを発する原因に繋がってしまうのです。
当たり前のことですが、洗濯は衣服の汚れを落として清潔を保つための行為です。しかしわかりやすく言えば、多量の洗剤で洗濯するということは、洗濯機の中で一度浮き上がらせた汚れを衣服や洗濯槽に戻す(残す)行為であると言っても過言ではありません。

さらに必要以上の洗剤を使用することは、洗剤の無駄遣いとも言えます。例えば、きちんと量って使用していたら本来30回分の洗濯ができたはずなのに、実際は20回の洗濯でで使い切っていた...ということもあり得えるのです。
正しい洗剤量で洗濯をするということは、衣服にも、洗濯機にも、環境にも、お財布にも優しいということがわかります。


量が計れないジェルボール
正しく洗剤量を量る大切さは前述の通りですが、では洗剤量が調整できない場合はどうしたらよいのでしょうか。
ジェルボールは、ジェル状の洗剤が透明のフィルムに覆われている洗濯洗剤で、計量や詰め替えが不要・液だれもせず気軽に使うことができる洗濯用洗剤です。
しかし逆を言えば洗剤量を調整することができないため、洗濯物の量によっては洗剤量が多くなりすぎてしまう心配があります。
ジェルボールの商品説明を確認すると、洗濯物の量に合わせて使用するジェルボールの個数が指定されています。
ジェルボールの指定に達しない量で洗濯をする必要がある場合は、洗濯物がたまるのを待つか、粉末や液体などの計量できる洗剤を使うなどの工夫が必要です。
なお、ジェルボールは水切れ・泡切れよく作られているので「すすぎは1回で良い」とされていますが、頑固汚れや特殊汚れは前処理を含めて丁寧に洗う必要がありますので、1回のすすぎでは汚れが落ち切らない可能性もあります。
ジェルボール洗剤は、目立った汚れがない衣服の洗濯に使用するようにしましょう。

有能な界面活性剤の役割

洗濯洗剤は、様々な成分が含まれています。そのうち、汚れを落とすという意味で最も重要な働きをしている成分を界面活性剤と言います。
衣服に付着する汚れの代表である皮脂(アカ)は油溶性です。
ご存知の通り「水」と「油」はケンカし合ってしまうので、本来水だけで汚れは落ちません。しかしそこに「界面活性剤」が仲裁役となって現れ、ケンカしている「水」と「油」に仲直りの握手をさせることで、1つの塊にさせるのです。
そして、1つの塊になった「水と油」は、すすぎの水と共に衣服から離れ、流されていきます。
これが「汚れが落ちる」メカニズムです。
界面活性剤が、洗濯において重要な役割を果たしています。
(参考:洗剤を知る~界面活性剤~