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人工皮革と合成皮革

人工皮革や合成皮革のジャケット、パンツをお持ちですか?
ここ数年、これらの素材は一見天然の皮革に見間違える程技術が進み、また、安いうえに軽くて日頃のお手入れが楽である為、広く普及しています。
ところが、当然天然の皮革でない為、素材の特徴に対する消費者の誤解により、非常にトラブルになり易い製品なのです。このページでは、人工皮革や合成皮革の特徴を理解したうえ衣類を購入して頂くことを目的に紹介します。
人工皮革と合成皮革って?
本物の革製品ではなく、革製品に似せた製品である「合成皮革」や「人工皮革」とは、一般的にどういう製品なのでしょうか。
それは、基材と言われる生地のベースとなる素材に、樹脂を浸み込ませたりまたはコーティングし、表面に型押し等の加工をして外観や触感を本物の皮革風にした製品を言います。
また、「人工皮革」と「合成皮革」の違いについては、家庭用品品質表示法では、次のように区別されています。
・人工皮革:基材に特殊不織布を用いたもの。
・合成皮革:基材に特殊不織布以外のものを用いたもの。
※特殊不織布とは?
ランダム三次元立体構造を有する繊維層を主とした基材に、ポリウレタンまたはそれに類する物質を含浸させたものをいいます。
言葉だけですと、おそらくイメージし難いと思われますので、写真とイラストを見て比べてみましょう。
構造を知ろう
天然皮革
事例:牛革の場合


牛革など毛が付いていない天然皮革製品はまず、「表皮部分(皮膚)」と「毛」は加工処理により除去し、「皮下組織」も裏打ち加工により取り除かれます。そして残った部分の「コラーゲン層」と「銀面層」で、生地を形成しています。
「コラーゲン層」とは、たんぱく質であるコラーゲンの繊維が立体的に絡み合い組織を形成しています。
「銀面層」とは、「表皮部分」に近い緻密な繊維構造を持ち、革の表革として使われます。
人工皮革


化学の力で、天然皮革に構造を限りなく似せて作ったもの。
天然皮革でいうところの「コラーゲン層」には、超極細状のナイロンやポリエステル繊維を立体的に絡み合わせたうえ、ポリウレタン樹脂を浸み込ませて組成した「不織布層」があります。
また、表面には大半がポリウレタン樹脂を用いた「表面樹脂層」を施し、本物の皮革に似せたデザイン加工によって、天然皮革と似た構造と風合いを作りだしています。
合成皮革


基材に不織布以外を用いたものが合成皮革と言われ、編物や織物をベースにし、その上部にポリウレタン樹脂を厚く塗ったり、貼り合わたりしたものです。また、目に見える部分である表面は天然皮革に似せたシワを人工的に作り出しています。
塩ビレザー


合成皮革と構造が同じである為、合成皮革の一種として位置付けられています。
違いは樹脂の種類が「ポリウレタン」ではなく「塩化ビニル」と言われる素材が用いられています。しかし「塩化ビニル」はドライクリーニングを行うと、品物を硬くする性質を持っています。
ところが、「ポリウレタン」と「塩化ビニル」を外観で判断するのは困難とされ、更に表示ラベルには樹脂の種類を表示する義務が無い為、クリーニングをするうえで非常に注意を要す製品とされています。

塩化ビニル樹脂に要注意!
注意点
人工皮革や合成皮革は、大半が「ポリウレタン樹脂」と言われる素材が用いられていることが、お分かりになったかと思われます。ところが、この「ポリウレタン」という素材は、着用や保管において十分注意する必要のある素材です。そこで、下記にあるポイントに注意して、商品の特徴を理解し少しでも長く人工皮革や合成皮革製品を楽しみましょう。
- 雨などで濡れたときは、乾いたタオルで水を拭き取る
- 使用後は、陰干しで乾燥する
- 湿ったまま密封して放置しない
- 高温多湿のところへ長時間放置しない
- 直接日光があたるところへ長時間放置しない
- 石油ストーブに近づけない
- コーティング面に直接アイロンをかけない
- スチームアイロンおよび浮かしアイロンがけはしない
- 保管は、陰干しで乾燥し、光のあたらず湿気の少ないところで行う
- 保管時は、年数回は風通しのよいところで干す
- ビニール袋に入れたまま保管しない
- ドライクリーニングは石油系で行ってもらう(樹脂が、「ポリウレタン」か「塩ビ」かも注意する)
ポリウレタン素材の弱点を知る
ユニクロの「ネオレザー」も合成皮革です。デメリットを理解してから、購入を決めましょう。
参考>>レザージャケットを知ろう
- 生地の種類を知ろうのその他の記事
- 生地の種類と組織
c東京都立産業技術研究センター
繊維から糸が出来上がり、衣服として人間の身体を被い包む素材にするには、広い意味で平面状の生地にしなければなりません。また、生地の種類は、織物、編物、レースのほかフェルト、不織布などがあります。そしてそれら種類によって、その構成や加工の違いで性能や注意事項が異なり、私たちはそうした特徴を知っておく必要があります。
このページではまず、生地の種類と組織について紹介します。
- >> 人工皮革と合成皮革
人工皮革や合成皮革のジャケット、パンツをお持ちですか?
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- 塩化ビニル樹脂に要注意!
合成皮革には、「ポリウレタン樹脂」が使用されているものと「塩化ビニル樹脂」が使用されているものとに分けられます。ところが、ドライクリーニングを行うと「塩化ビニル樹脂」を用いた合成皮革製品はバリバリに硬くなる特徴があります。
このページでは、主に合成皮革として用いられる「塩化ビニル樹脂」の注意点を紹介します。
- 衣服の紫外線対策
夏になると紫外線の量が増え、肌に「日焼け」を引き起こしたり、眼の角膜に炎症を起こしたりするなどから、人体にかかわる紫外線対策が注目されます。
ところが、紫外線の影響は人体の健康被害だけでなく、衣服やその他様々な分野にも大きな影響を及ぼすことをご存知ですか?
このページでは、紫外線と衣服の関係について紹介します。
- 何故シワが出来るのか?
日常生活を過ごすうえで、衣服のシワに悩まされる機会はありませんか?
例えばビジネスシーンでは、スーツやワイシャツを着用する機会がありますが、シワの多いスーツやワイシャツを着用していれば他人から見れば見苦しく、清潔感は損なわれます。
また、キレイに洗って保管していたのに、着る時に出してみたらシワでついていた…なんてことも。
では何故そもそもシワが出来るのでしょうか?また防ぐ方法はあるのでしょうか?このページでは、シワについて解説します。
- リネン、ラミーなど麻素材の特徴について
麻を使用した衣服は、吸湿性が高く肌触りも涼しく夏物衣料の定番アイテムです。しかも、近年ではシャツ以外にサマーセーターやカーディガン、カットソーなどにも使用されるなど、バラエティに富んだ商品が販売されています。
しかし一方で、麻は素材に独特な特徴や欠点があったり、お手入れが難しい一面を持っています。
このページでは、麻について紹介します。
- 異なる要素を1枚に!ダブルフェイス生地について
現在様々な生地が登場していますが、2枚の生地を貼り合わせて1枚のような生地にし、厚みを持たせたり、外側と内側で素材感を変えるなどの「機能的側面」や、デザインとしての「装飾的側面」から、「ダブルフェイス生地」というものがあります。
例えば、Tシャツで表地と裏地で色が異なる場合や、マフラーやストールなども表裏の色が異なる場合などあり、市場でもしばしば見られます。
また、冬服のジャケットやコートにも用いられる「ダブルフェイス生地」ですが、このページでは「ダブルフェイス生地」の特徴や注意点について解説致します。
- ベルベット・ベロア・別珍とは?
秋冬モノにある素材で「ベルベット」「別珍」「ベロア」「コーデュロイ」など特徴的な生地があります。
独特の手触りで光沢感を生み出すものや、厚手で暖かいものなどがありますが、これらは総じて「パイル(添毛<てんもう>)織物」といいます。このページでは、パイル織物でも「ベルベット」「別珍」について解説いたします。
- リアルファーやフェイクファー(エコファー)について
暖かさをもたらすのはもちろん、ふさふさした装飾的な要素もあるファー(毛皮)ですが、近年動物愛護の観点からもフェイクファーが注目されています。また、フェイクファーという言い方も「エコファー」という言い方に変化してきており、フェイク(偽物)というネガティブな物ではなくエコ(環境保護・動物保護)というポジティブな象徴としての位置づけがされてはじめています。
そこで今回は、フェイクファー(エコファー)とリアルファー(毛皮)の違いについて紹介します。
- 衣服に色をつける方法
c東京都立産業技術研究センター
アパレル製品の「色(カラー)」というのは、消費者が衣服を購入し楽しむうえで、とても重要視される要素のひとつかと思われます。また、最近では消費者志向の複雑化により、数多くのカラーバリエーションにもとづいた商品が販売され、消費者の選択肢を広げることに貢献しているメーカーもあります。
しかし、衣服の色というのは着用の過程で「色落ち」など、購入時からの変化を引き起こす商品も少なくありません。そうした色の変化を理解するうえでも、どのようにして衣服に色がつけられているのかを知ることが、衣服を楽しむうえで大切なことだと言えます。
そこでこのページでは、基本的なアパレル製品に色がつけられる仕組みでもある「染色」について紹介します。
- >> 人工皮革と合成皮革
人工皮革や合成皮革のジャケット、パンツをお持ちですか?
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- 衣服の紫外線対策
夏になると紫外線の量が増え、肌に「日焼け」を引き起こしたり、眼の角膜に炎症を起こしたりするなどから、人体にかかわる紫外線対策が注目されます。
ところが、紫外線の影響は人体の健康被害だけでなく、衣服やその他様々な分野にも大きな影響を及ぼすことをご存知ですか?
このページでは、紫外線と衣服の関係について紹介します。
- 色落ちの理解を助ける 染料と顔料
顔料というのをご存知ですか?衣服に色を染める材料には、大きく分けて2種類あります。それは、「染料」と「顔料」です。この2つは、衣服に色が染まるという面では同じですが、その仕組みを知ると大きな違いがあるだけでなく、その特徴上、避けられないデメリットがあります。2つの染料の違いを理解して、色落ちについて考えてみましょう。
- プリーツ(折り目)のメカニズムとは
主に女性であればスカートにあるプリーツ、男性であればスーツのパンツにあるセンタープリーツなど、折り目の入った衣服は立体的なデザインを表現するうえで非常に馴染みのあるアイテムです。
ところが、購入時にはしっかり折り目の入った状態でも、着用を繰り返したり雨で濡れたりなどすることでプリーツが消えてしまうことがあります。
このページでは、このような特徴を持つプリーツとは一体どのようにして出来ているのかを解説します。
- オイルドジャケットを楽しむ
冬の防寒には様々なファッションアイテムが存在しますが、その中でもコートやジャケットといったいわゆるアウター(外套)が活躍します。アウターには、例えばダッフルコート、Pコート、トレンチコートなどのフォーマルに合うものや、ダウンジャケット、ウインドブレーカー、フリースなど、よりカジュアルに合うものなど様々なアイテムが販売されています。
そこで今回は、本来アウトドア用に作られたものがトレンドの流れを受けて、タウンユースとして人気が定着したオイルド加工のジャケットについて紹介します。
- シームレスダウンの注意点
数年前からダウンジャケットのキルティング部分に縫い目がなくテープで貼ったような仕様で作られたダウンジャケットが人気です。こうしたダウンジャケットは「圧着加工」や「ノーステッチ加工」や「シームレス加工」と言って、縫い目が無いことにより機能性を高めています。
しかし、この加工には大きな弱点があるのをご存知でしょうか?このページではシームレス加工のダウンジャケットについて紹介します。
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