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失敗する家庭洗濯

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平成20年に東京都クリーニング組合青年部と全国の組合青年部は「消費者2万人アンケート」を実施しました。「消費者2万人アンケート」は毎年テーマを設けて行われているアンケートで、平成20年は「家庭洗濯」をテーマに行われました。
このページでは、そのアンケート結果の一部から見える家庭洗濯の傾向を紹介します。

後を絶たない失敗による駆け込み

衣類の洗濯は、ある意味で2つに分けられます。
一つ目が、洗濯のプロが行うクリーニング業としてのファッションメンテナンス
二つ目が、家庭内で行われるいわゆる家庭洗濯です

衛生確保という点では両者は共通しているものの、価値観や感性がさらに多様化する中で衣類を繰り返し着用するためには、汚れを落とすだけでなくその衣類特有の風合いやデザイン、着心地等をもメンテナンスしなくてはなりません。

ところがここ数年、家計の節約や高機能家庭用洗濯機の普及だけでなく、衣類と洗濯の相性に対して誤解をしていたり、洗濯を「汚れ落とし」とだけでしか認識がないばかりに、「クリーニング店にお願いしなくても自宅の洗濯機で出来るでしょ」と安易に考える方が多くなっています。
その結果、汚れは落ちても風合いや着心地が変化してしまい、その時になってはじめて「クリーニング店なら何とかしてくれるだろう・・・」と期待をもって、お店に駆け込むケースが後を絶ちません。

洗濯に失敗したアイテムは?

アンケートの中では「家庭での洗濯に失敗したアイテムはどれですか?」という質問をしました。そこで以下のような結果が出ました。

家庭洗濯の失敗統計08

「平成20年消費者2万人アンケート」結果から

結果を見ると、「セーター・カーディガン」での失敗が多いことが分かりました。
この理由として、セーター・カーディガンの素材はウールが多く、本来水による洗濯は注意が必要で、ドライクリーニングが出来ますが、家庭でドライクリーニング可マークのアイテムが洗えるとしている、ドライマーク用洗剤での洗濯を行った結果、色落ちや風合い変化、収縮などを引き起こし失敗してしまうケースが推測されます。

大切な衣服を気持ちよく着続けるために必要なこと

その1:簡単に考えないこと

ドライマーク用洗剤を利用した洗濯方法を「ホームクリーニング」という言い方に変え、これまでクリーニング店でしか出来なかった品物が自宅で手軽に出来るような印象を与えている傾向が考えられます。
洗濯にとりかかる前に、ドライマーク用洗剤のパッケージの裏側にある注意書きをじっくり読んだことはありますか?「洗濯機に衣服と洗剤を入れて、あとはドライコースのスタートボタンを押せばOK!」と思っていませんか?
パッケージの裏側にある注意書きは、非常に重要なことが書かれています。重要なこととは、つまり「条件」です。「条件」を守らなければ失敗する可能性は高まるのは当然なのです。

その2:取扱い絵表示をしっかり見て理解すること

衣服に縫いこまれている表示ラベルを見てはいるものの、ドライの表示ばかりに気を取られ、他の表示を見落としていたりしませんか?また、見ただけで満足していませんか?
ドライマーク用洗剤の裏側に書かれている「条件」にもありますが、「水洗い×」の絵表示の付いた衣服は、たとえドライマーク用洗剤があっても家庭洗濯は出来ません。家庭洗濯は水洗いしか出来ないことを忘れていませんか?それとも「ドライマーク用洗剤」や「ドライコース」で洗濯することがドライクリーニングだと誤解していませんか?
取扱い絵表示に下の表示が付いている衣服は、クリーニング店にお願いするようにしましょう。
○○

参考>家庭洗濯とドライクリーニング

その3:取扱絵表示通りに洗うこと

「取扱絵表示」の中でも、縦長の四角いイラストと桶(おけ)のようなイラストが”洗い方”を意味しています。縦長の四角いイラストは、洗濯機を表現しており、基本的には「洗濯機で洗っても良いですよ」ということを意味しています。
一方、桶(おけ)のイラストは、「手で洗うようにしてください(手洗い)」という意味になります。つまり言い換えれば、『洗濯機は使用しないでください』とメーカーは伝えていることになります。洗濯機を使用して良いのであれば、洗濯機のイラストを表示するはずですし、手洗い表示であれば、洗濯機を使用出来ないなりの理由があることを理解する必要があります。
下のJISの定める取扱絵表示の意味を参考にしても、「洗濯機」と「手洗い」は明確に区別されています。

○○○○○○○○
液温は40度を限度とし、洗濯機の弱水流または弱い手洗いがよい。液温は30度を限度とし、洗濯機の弱水流または弱い手洗いがよい。また中性洗剤を使用すること。液温は30度を限度とし、弱い手洗いがよい(洗濯機は使用できない)。液温は30度を限度とし、弱い手洗いがよい(洗濯機は使用できない)。また中性洗剤を使用すること。
その4:手洗いコース≠手洗い

では、洗濯機を見てみましょう。最近の洗濯機は色んなコースを選べるようになりました。その中で「手洗いコース」や「ドライコース」といった名前のコースが用意されているものも少なくありません。

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しかし、よく考えてみると洗濯機なのに”手洗い”?家庭用洗濯機なのに”ドライ”?
一体どういうことなのでしょうか。
これらのコースは、水による縮みや風合い変化などからデリケートな衣服を守る為に機械力を標準より弱くしつつも、結果的に機械の力を利用した洗濯機で洗う方法です。つまり、「手洗い」でもなければ当然「ドライクリーニング」でもありません。
機械の力を加えると変化の起きるリスクがある為に、取扱絵表示で「手洗い」を勧めているのです。
「手洗いコース」の為に、取扱絵表示が「手洗い」になっている訳ではありません。
このことを充分に理解しておく必要があります!

まとめ

家庭洗濯での失敗は、様々な要因はあるかと思われますが、まとめると次のようなことが考えられます。
・表示ラベルを読んで理解していない。
・表示ラベルから衣服の取扱情報や条件を汲み取り、整理しない。
・表示ラベルの内容に従わない。
・洗剤や洗濯機を過信し過ぎている。
・手間をかけたくない。

洗濯というのは、意外に複雑で手間もかかることを知っておきましょう。

ただ、アパレルメーカーが表示を誤っていたり、一見矛盾した表現をしていたり、また洗濯機のコースについても、利用者に対して「本当に失敗せずに家で洗えるのか?それともクリーニング店に出したほうが良いのか?」を迷わせ、誤解を与え、失敗に結びついている可能性も考えられます。

では実際の衣服に縫いつけたあった表示ラベルの事例を見て、家庭洗濯出来るのか?それともクリーニング店に出したほうが良いのか?見極めてみましょう。まずは、解説を見ずに、自分であればどうするかをイメージして頂くことをお勧めします。

洗えるものと洗えないものを見極める

事例1
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解説

<条件の整理>

①水洗いが出来ない
②塩素系漂白剤による漂白ができない。
③アイロンは120度を限度とし、低い温度(80度から120度まで)で、かつ、あて布をしながらかけるのがよい。
④ドライクリーニングができる。溶剤は、石油系のものを使用すること。
⑤ネットに入れて洗濯する必要がある。
⑥タンブラー乾燥機による乾燥が出来ない。

<解説>
水洗い×の時点で家庭洗濯は出来ませんので、クリーニング店でのドライクリーニングをメーカーは指示していると言えます。また、ドライクリーニングでも石油系の溶剤を用いることを指示しています。更に付記用語では、「ネットに入れて洗濯すること」という指示がありますが、これは他の指示と合わせて考えると非常に誤解を招きやすいですが「ネットに入れながらドライクリーニングをしてください」ということを意味しています。よって、自宅の洗濯機(=水洗い)でネットに入れながら洗濯する方法は間違いです
 また、タンブラー乾燥が出来ないということは、回転による乾燥機は使用出来ないという意味です。この場合も、ドライクリーニング後の乾燥は回転させる乾燥は避けることを要望しているので、クリーニング店では静止状態で乾燥することになります。仕上げももちろん、絵表示の指示通りに行う必要があります。


事例2
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解説

<条件の整理>
①液温は30度を限度とし、弱い手洗いがよい(洗濯機は使用できない)。
②洗剤は中性洗剤を使用すること。
③塩素系漂白剤による漂白ができない。
④アイロンがけはできない。
⑤ドライクリーニングができる。溶剤は、石油系のものを使用する。
⑥日陰の平干しがよい。
⑦裏返して洗う
⑧形を整えてから干す。
⑨乾燥機の使用ができない
⑩アイロンをかけるのであれば、スチームで浮かしながら。

<解説>
事例1と同じウール100%でも、こちらは手洗いであれば家庭洗濯(=水洗い)が大丈夫なようですが、表示を読むと様々な条件があります。まず、普通の手洗いとは言っても①液温は30度を限度②弱い手洗い③洗濯機は使用出来ない④洗剤は中性のものを使用⑤裏返して洗う というように、単純に“桶の中でもみ洗いすればOK!”という訳ではないことを理解する必要があります。
むしろ、弱い手洗いなので“揉む”行為は絶対に避けるべきです。「手洗い=揉む」と短絡的に考えてしまいがちですが、毛の特性上水中で揉む行為は、どんな加工がしてあっても、ある程度のリスクを想定しておいたほうが無難です。というより、「手洗い」というのは、基本的には押し洗いと考えたほうが無難です。
更に、乾燥や仕上げについても同様に単純ではなく、手間を惜しまず行う覚悟が必要です。また、ドライクリーニングがこの製品は可能ですので、もちろんクリーニング店のドライクリーニングで洗うという選択肢もあります。

どちらにせよ、ウールのセーターの家庭洗いを手間を惜しまず行ったとしても、風合いについては、ドライクリーニングと比べると違いが出ます。風合いを新品時のような状態に保つことを優先するのであれば、ドライクリーニングがお薦めです。


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