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洗剤を知る~中性と弱アルカリ性~

現在、市販される洗たく用合成洗剤は実に多くの種類が存在しています。そのような多くの洗剤の中から何を選択すれば良いのか迷うことはありませんか?値段で選ぶ方もいれば、液体か粉末かで選ぶ方もいるかと思います。また、中性なのか弱アルカリ性なのか?というのも必要な選択基準と言えます。
このページでは、酸性・中性・アルカリ性というキーワードから洗剤の違いを解説します。

性質の違い

「酸性」・「中性」・「アルカリ性」という言葉は、おそらく一度は耳にした言葉なのではないでしょうか。これらは、(物質を水に溶かした液である)水溶液の性質の違いを3つに分けた言葉です。
つまり、水溶液の種類を3つに分類することで、私たちが性質の違いを分かり易く認識出来るようにしています。故に、義務教育の理科の授業で習うのかもしれません。

強弱の度合いを知る手掛かり~pH~

そこでまず、3つの性質を知る前に覚えておきたいことがあります。
実は「酸性」・「アルカリ性」には、強弱があります。例えば最近では、シャンプーなどのCMで「弱酸性」という言葉を見聞きしたりしませんか?一方、「塩酸」「硫酸」など危険を伴う「強酸性」の水溶液があります。
このように酸やアルカリの強さを表すのに、専門的にはpH(ピーエッチ/ペーハー)と呼ばれる数値が使われます。その数値に基づき「酸性」「弱酸性」「中性」「弱アルカリ性」「アルカリ性」に分類されます。
pHは数値の7を中心(中性)に数値が低くなるにつれて「酸性」が強くなり、数値が高くなるについれて「アルカリ性」が強いという評価になります。

ph.gif

7を中心に数値が低いまた高いほど、皮膚の細胞などを溶かしたり、物質を分解したりなどの影響を与えることになります。つまり一言でいえば危険になります。

                                                            
pH液性
3.0未満酸性
3.0以上 6.0未満弱酸性
6.0以上 8.0以下中性
8.0を超えて 11.0以下弱アルカリ性
11.0を超えるものアルカリ性

性質の違い

では、性質の違いを見ていきましょう。
洗剤は衣類用だけでなく、台所用(食器用)・風呂釜用・トイレ用など用途別に存在します。ここでは、直接手で食器を洗う台所用洗剤を例に挙げてみます。

台所用洗剤と食器洗い機専用洗剤の違いを知る

一般的な台所用洗剤は中性洗剤で、基本的には界面活性剤の働きだけで汚れを落とします。しかし汚れを落とすことを優先するのであれば、本来中性ではなくもっとアルカリや酸の成分を高めることで解決出来るはずですが、市販されている多くの台所用洗剤は中性洗剤のままです。これは何故なのでしょうか?

理由は、洗浄力を高める為にアルカリを強くすることで、手荒れなどの皮膚への影響が高くなるからです。つまり、中性にアルカリの成分を加えると食器に付いた汚れに対する洗浄力を高めることは出来ますが、皮膚などに人的被害を及ぼすリスクが高まるので「中性洗剤」が一般的であると考えられます。

そこで、人の手に触れずに食器を洗える方法があればより洗浄力を優先した洗いが実現出来るとのことで開発されたのが、食器洗い機です。もちろん手間を省くという意味においても食器洗い機は便利ですが、洗浄力にも違いがあると言われています。洗浄力の高さの理由は、高温水や噴射力などもありますが、洗剤の違いも大きいです。
食器洗い機には、一般的に「食器洗い機専用洗剤」が用いられますが、「弱アルカリ性」の洗剤が多いです。人の手の代わりに機械が洗う為、中性である界面活性剤にアルカリ剤を加え洗浄力を高めるのを優先することが出来たのです。ただし、食器によってはその洗浄力の高さが仇となり、食器に描かれたデザインなどの塗料が剥がれる場合もあり、注意が必要です。

「中性」がキホンで「アルカリ性」でパワーアップ!

台所用洗剤を例に挙げましたが、衣類用洗剤も基本的には同じ考え方です。
つまり、おしゃれ着などを洗う為の「中性洗剤」と、しっかり衣類を洗える「弱アルカリ性洗剤」は以下のような特徴を持っています。

中性洗剤弱アルカリ性洗剤
・洗浄力は低い。
・洗浄時、素材に影響が少ない。
・程よく洗浄力は高い。
・ある程度素材に影響が出易くなる。
シルクやウールなどデリケートな繊維や装飾を使ったおしゃれ着を洗濯するときに使います。汚れをしっかり落とすというよりも、色合いや風合いを保ちながら汚れを落とします。界面活性剤に様々な成分が配合されています。綿や麻、ナイロン、ポリエステルなどふだん着の衣類を洗濯するときに使います。漂白剤成分が配合されているものもあり、除菌効果も期待できます。きなりや淡い色物には、無蛍光タイプの洗剤がおすすめです。

家庭洗たくの限界!?

ここまでの解説でお気づきの方もいるかもしれませんが、洗剤は一長一短でありどちらかが優れていればどちらかが劣っているというようなことが多く、衣類の洗剤で言えば、洗浄力の高い洗剤であれば色落ちや風合い変化の起きるリスクが高くなり、色落ちや風合い変化のリスクを低くしたいのであれば洗浄力の低い洗剤を使用することになります。

中性洗剤と弱アルカリ性洗剤

微調整が出来るクリーニング店

最後に、洗たくのプロであるクリーニング店ではどのような洗い方をしているのかを、軽く紹介します。
優れたクリーニング店では、洗剤を溶かした洗浄液のpH値を測定するなどして、知識と経験を駆使しながら自らアレンジを加えることで、衣服の変化を抑えながら洗浄効果を高めることにこだわるお店などがあるようです。

つまり、洗剤や助剤などを調合して、こだわりの洗浄液を作り上げるのです。
その為、ここ数年家庭では液体洗剤が主流になっていますが、クリーニング店では調合のし易い粉末洗剤が多く使用されています。

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