中間洗いのススメ | 家庭洗濯とクリーニング | 東京都クリーニング生活衛生同業組合

家庭洗濯とクリーニング

中間洗いのススメ

冬が厳しい季節になると多くの方が外出時にコートを着ます。
コートという衣服は下着などのように高頻度に洗う衣服とは違い、所有数も少なく、洗う頻度も少ない方が多いかと思われます。ところが、着用回数は非常に多いという見逃せない特徴もあります。
また、サラリーマンのスーツも同様の特徴を持ち、最近の若者の中にはスーツの所有枚数も極端に少なく、着回しサイクルが早い人もいるようです。
このページでは、着用回数の多い衣服にもかかわらず洗たくやクリーニング回数の少ないコートやスーツの汚れについて紹介します。

分かりにくい汚れ

dirt_sample3.jpg
我々はそもそも何故コートやスーツは頻繁に洗わないのでしょうか?
一般的にコートやスーツはYシャツやポロシャツなどと比較するとクリーニング料金も高く、家計への影響を考えると頻繁に出し難いかもしれません。また、ひとつのコートを毎日着続けている方や、2・3着のスーツを着回しているなど、生活の中における衣服サイクルの関係上、クリーニングなどに一時的に預けるタイミングが無いという方もいらっしゃるかもしれません。

この他にも理由は様々考えられますが、一番大きな理由は基本的にコートやスーツは下着やワイシャツとは異なり地肌に触れる部分が少ない為、臭いなどが感じにくく、感覚的に「汚れていない」という判断をしている方が意外に多いのではないでしょうか?また、黒や紺といった濃い色のコートやスーツであれば、汚れが目で見て確認し難いので、尚更「汚れていない」と錯覚してしまうようです。

ところが汚れは、「外から付く汚れ」と「体から付く汚れ」に分けられ、本来、臭いだけで汚れの有無を判断するのはやや短絡的と言わざるをえません。

参考:汚れの種類

連続着用は確実に衣服を傷めています

コートやスーツは、比較的高い買い物と言えます。ところが、コートなどは躊躇なく毎日同じものを着続ける方が多いです。しかも、シーズンが終わるまで一度も洗わず着続けるなんて方も意外に多いようです。しかし言わずもがな、汚れは確実に蓄積しているのです。

理由1:反射率で判明した!汚れ度合い

実は過去に、こんな実験が行われたことがあります。
全国クリーニング環境衛生同業組合連合会(現:生活衛生同業組合連合会)が行った実験ですが、連続着用した白いスーツの汚れ具合を分析しています。具体的な実験方法は下記の通り。
分析方法
サラリーマンに30日間白いスーツを着てもらい、その汚れ具合を「白度」という指標を使って調べたもの。
「白度」の測定方法
各部位に光をあて、その反射率を数値に替えたもの。数字が大きくなるほど、反射率が低下し、汚れが付着していることを意味する。
数値の説明
3~5・・・・汚れが目立つ

6~9・・・・かなり汚れが目立つ

10以上・・・ひどい汚れ
分析結果

具体的な数値は下記をご参考頂ければと思いますが、ほとんどの部位で反射率が低下し、30日経過時にはひどい汚れという結果になりました。

ジャケット
dart_test_1.gif

パンツ
dart_test_2.gif


理由2:明らかに溜っている汚れの量

更にもう一つの実験結果があります。汚れの付着量を求めた実験です。
汚れの量は、ドライクリーニングした後に洗液の濃縮したものと未使用の新液を濃縮したものの重量差を表しています。

dirt_test_3.gif

dirt_before.jpg
dirt_after.jpg
【着用1日のジャケット】繊維のうろこがはっきり見える【着用30日のパンツ】うろこが見えなくなるまで汚れが付着している

このように、時間が経つにつれ明らかに汚れの付着量は増えていきます。
そして、汚れが付いたまま過ごす時間が長ければ長いほど、汚れは落ち難くなるばかりか、衣服にさまざまな弊害を引き起こします。

連続着用・長期着用による悪い影響

衣服に付く汚れは、その人の年齢、性別、生活環境などによっても違ってきますが、汚れたものを着ていると色んな弊害があります。

保険衛生上良くない!
  • 通気性が悪くなる。
  • 保温性が悪くなる。
  • 吸湿・吸水性が悪くなる。
  • 垢や細菌が付着している。
  • 虫食いやカビの原因になる。
寿命を短くする!
  • 外観を悪くする。
  • 傷みやすくなる。
  • 型崩れしやすくなる。
  • 光沢や色が悪くなる。
  • 繊維が弱くなる。
精神的に良くない!
  • 周囲の人間に不快感を与える。
  • 衣服が湿っぽく、重く感じられ、さっぱりした気持ちになれない。
  • 汚れた衣服を着ていると行動が消極的になる。

まとめ

このように実験結果を見ても、明らかに連続着用による衣服は汚れています。
冬服の定番カラーとして根付いている黒や紺などの濃い色の衣服は、どうしても目で見て汚れ具合を確認出来にくいですが、汚れの程度に衣服の色は関係ありません。実験の結果と同様、汚れているのです。

2月頃は冬シーズンの中間地点で、丁度汚れがしっかり溜ってきている頃です。汚れた衣服を着ることによる弊害を抑える為に、シーズン途中に最低1回でもクリーニングに出し、汚れをしっかり落とすことをお薦めします。

このページのキーワード。クリックして関連情報をチェック!
同じカテゴリの新着記事